以前、ある過疎化が進む町の小規模な食品スーパーの支援をしたことがあります。
過疎化が進み人口減少が顕著な地域にもかかわらず、当店から半径5kmの範囲には、大型のショッピングセンターや食品スーパーチェーンなどいくつもの競合店が軒を連ねるいわゆるオーバーストア商圏です。
このお店は、ひととおりの品揃えはあるものの、品揃えや価格では大手チェーン店には到底太刀打ちできないことは明らかです。にもかかわらず、日替わりセールやたまごの特売など価格対抗オンリーの対策に終始し、レッドオーシャンへダイブを繰り返している状態です。
いつまでも相手が得意な土俵の上で戦いを挑んでいても、体力のある大手に勝てるはずはなく、自らの体力を消耗する一方です。
そこで、当店ができることとその結果、お客さんに悦んでもらえることはなにかと考え、月一回のプチイベントを繰り返すことにしました。
まず、第1弾は、「店長とじゃんけん大会」です。
店長とお客さんがじゃんけんして3回勝てばラップと食器用洗剤、負けても飴ちゃんひとつかみさしあげます、という、シンプルでわかりやすく、しかもわずかな費用でできる小さな小さなイベントを実施しました。
でも、これが思いのほか、大盛り上がり、私も、うちの子供も・・・というぐあいに、次々とじゃんけんにチャレンジするお客さんが列をなします。
その次は、趣向を変えてあみだくじ大会を実施。これも、ドキドキ感があって、とても盛況でした。
夕食の食材などの日常の買物は、決して楽しいものではなく、できれば早く済ませて帰りたいものです。
そのようななかで、お客さんが笑顔になって、楽しく買い物していただくこと、そして、このお店に来ることが楽しみになってくれること、これこそが小さなお店の土俵ではないかと思います。
この土俵には、大きなチェーン店は決して上がることはできません。
価格や品揃えではない、顧客が悦ぶブルーオーシャンなのです。
「店長とじゃんけん大会」