顧客基盤の大切さについて、小阪裕司氏の著書「顧客消滅時代のマーケティング」に記された1つの事例をご紹介しましょう。 今、卵の価格が急騰していますが、実はコロナ禍では、飲食店の自粛営業や休業の影響で、卵が余っていた時期がありました。コロナ禍の当初である2020年、ある養鶏場で4トンもの卵が売れ残ってしまいました。 この養鶏場の顧客は、飲食店やスーパーなどと通販の一般消費者を主としています。 飲食店やスーパーは必要以上の商品を仕入れてくれないため、これまで関係性を築いてきた一般のお客様に対して「緊急事態、助けてください!」というダイレクトメールを送りました。結果、4トンの卵がすぐに完売、追加注文まで来るまでになりました。 このできごとの後、同社の売上は前年の130%以上をキープし続けるまでになったということです。 もし、それまでに一般のお客さんとの関係性を築いていなければ、この養鶏場はどうなっていたでしょうか。
「基盤」とは、物事の基礎や土台という意味です。
お客様がしっかりと支えとなってくれているお店や会社は、多少の危機が訪れてもちょっとやそっとでは揺るがないものです。
えてして私たちは、商品や価格、競争相手のことばかりに心を奪われ、お客さんの存在を忘れがちになっているような気がします。